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「国際化」は特殊な行為?グローバル時代を生きる明大生に、大六野教授からのメッセージ【教職員インタビュー #4.3】

みなさん、こんにちは!

さて、ラスト大六野教授インタビューもラスト、第3章です。今回は、先生が明治大学の国際化についてどう思っているか。また、明大生にどうなってほしいかなど、先生の想いがつまったインタビューになっています!

1. 国際化は、定年までの使命?先生の考える未来の大学像

2. 明大生、ここを頑張れ!グローバル化に適応するために必要な2つの力

3. 留学を考えるすべての学生へ。「心配しすぎ」を解決するには…?

大六野耕作教授

1.国際化は、定年までの使命?先生の考える未来の大学像

中:さて、ここまでは先生個人のお話を聞けたので、ここからは明治大学の国際化についてお伺いします。ずばり、大六野先生はなぜこんなにも国際化に力を入れているのですか?

大:明治大学の国際化をやっているのには2つの理由があります。1つは、どの国へ行っても「ああ明治,知っているよ!」と言われる大学にしたい。だから、残された定年までの5年間で,できるだけのことをしたい。自分の職場・母校である明治大学のために、明治大学が世界の人に認知される大学になるための努力を惜しみたくない。これが1つです。

中:大きな志ですね。私も、最近明治大学に来る留学生が増えて、「選んでくれている!」と嬉しくなります。

大:もう1つは、教員がグローバル化時代の学生のニーズに真摯に向き合い対応してほしいという思い。明治大学の先生は皆さん優秀だけど、世界環境が大きく変化した中で、今までと同じ教え方をしているわけにはいかない。これは、自分の課題でもあります。いずれ、世界の中で大学が選ばれる、先生が選ばれる。そういう時代に備えて欲しいという思いです。

中:それは、どのようなニーズですか?

大:一言でいうと、国内であれ国外であれ、様々な価値観が錯綜する世の中で、多様な価値観を相互に認めながら、議論をつうじて一定の結論に到達できる力。それを、具体的な行動に移す力の養成ということでしょうか。教育の方法は多様ですから、何も海外のものがいいとは思わない。でも、この先、UCB, UCLA, Harvard University, Stanford University, UPenn,Cambridge University, LSEなどのTop Schoolで授業を受けた人(2018年は50名)が増えてくると、学生たちは世界水準で先生たちを見るようになる。「先生、そんなことどこでもやってないですよ」と言われるかもしれない。それは、もうアウトだよね。だから先生たちも,世界の中で通用するように,今のうちに変わらないといけない。自分のことを言っているですが。そう考え行動する人が増えれば増えるほど,明治大学はこれから先も,世界の中で通用する大学になる。

中:確かに、留学から帰ってくると日本の授業に再絶望?することもありますからね。

大:「国際化」というのは何か特殊なものではなく、われわれが暮らしていく中での空気みたいなものだと考えているんです。単なる環境ですよ。世界で普通にやっていることを普通にやりたいだけなんだ。それを国際化と呼んで特殊なもののように考えるのが,私にはわからない。普通のことです。だって、2008年には355名だった明治大学からの海外留学者は,2017年度末で1,796名になっているんですよ。もう,大学をめぐる環境が完全に変わっているんです。

中:9年で5.1倍ですか!

大:現在でも、毎年,18人に1人が海外に行っている。周りを見ると、必ず海外に行った人がいる。これが、2023年の目標値(年間4,000人の留学送り出し)になれば5人に1人が留学経験者。これまでの日本のやり方を続けるのには無理がある。

中:ここまで留学する学生が増えても、先生たちは現状維持がいいのでしょうか?

大:きっと、変わるのがみんな怖いんじゃないですかね。私だって怖い。自分のスタイルが通用しなくなるかもしれないから。でも、私のような,60代以上の人たちがこれを言うのは,まあしようがない。「あのじいさんのいうことはそれでいいや」って考えていれば済みますから。だけど、50代から下の先生たちが、今までのスタイルをそのまま維持するのは難しいように思う。客観的に見て,難しいだろうと思う。

中:食い下がるようなんですが、それでも変わらなければ明治は生き残れないと思って、はやく実践してほしいですね…。

大:結局,国際化というのは環境変化なので,これに対応しないで生きていくことは難しいと思います。例えばシンガポール、オランダの大学は全部英語で授業をしています。オランダの人なんか、「そのうちオランダ語はなくなるかもしれない」なんて言っている。もちろん,それなりの理由が各国ごとにあるのですが。シンガポールやオランダのように,そもそも国が小さな所は、世界で生きていくためには世界に出なきゃいけない、英語は必須なんですね。オランダのようにイギリスに近く,小さい頃から英語にアレルギーがないなど、アドバンテージがある国とない国はありますが,国際化という環境変化に対応するという流れは,変わることはないと思います。

2.明大生、ここを頑張れ!グローバル化に適応するために必要な2つの力

大:グローバルな環境でいうと、明治大学の学生さんはここ10年でとてもグローバル化していますよ。どんどん留学へ行く人が増えているし。僕らの頃と比べると、英語教育的な面でははるかに恵まれている。知識の面でも、全体的に頭はいいと思うね。頭の回転はいい。

中:留学が割とノーマルな時代になって、考えも変わってきているんですかね。逆に、もっと学生にこうあってほしい、といったことはありますか?

大:私が思うのは、もっと本を読むべきだということ。今の学生さんは、情報をつなげて、何が起こり、それがどうつながって何が起こった、と認識する部分が弱いと思う。

中:そこが大事だと思うポイントは?

大:物事のダイナミックスを知っていれば,理解できることが増えることかな。例えば、歴史の流れを頭の中に描きながら,それぞれの地域的のあり方や,他の地域との関係を知り,その中で自国の相対的な位置を知ること。それぞれの国が,歴史の中でそれぞれの文化や社会を作り出してきたこと,そうしたことを理解すれば,未来を見通すことができるかもしれない。 

中:なるほど。知識があるだけでなくて、流れを頭の中で組み立てる力が必要、ということでしょうか。

大:今の学生さんは,文系理系に関係なくすべて科目を学習した私の世代とは感覚が違うのかもね。でも、今の人たちは損していると思う。学習は積み重ね。本を一日読めば分かるものでもないから。データ処理やプレゼン、英語の力は昔の人より上がっているけど、そこが弱いよね。

中:その話を聞くと、本読もう、という気持ちになります。実践します…!

その他、学生の留学に対する姿勢などに対して思うことはありますか?

大:心配性な人が多いことにも、少し心配だよね。時代背景の違いは理解できるけど。私達は相対的にいえば好景気の時代に生きてきたから、今日より明日のほうがよくなる、という基本的なperceptionがあるのかもしれない。でも今の皆さんは、頑張っても悪くしかならない時代を生きてきた。そのことは理解できるけど,それでも自分独自の力を持てれば心配することはないと思うのだけど。

中:時代背景も重要なんですね。未来は暗いことが当たり前の世代には、その活力が羨ましいです…。

大:あと、昔との違いは、現代は同調圧力が強いことかな。昔は、人と同じことをするのは,嫌だったものです。周りの人を気にすることはあるけど、今の学生さんは少し気にしすぎ。就活の内定先を聞きあっているのを見ても思うね。「どっちの内定先がいいと思いますか」なんて聞かれると、あくまで自分は自分だろう?と感じる。でも、同調なんてしようのない多様な人がいるアメリカやヨーロッパに行けば、その考えもなくなるのではないかな。

中:確かに。ダイナミクスを把握する力と、同調圧力に動じない力は、グローバルな環境で生きていくために大切ですね。

3.留学を考えるすべての学生へ。「心配しすぎ」を解決するには…?

中:それでは、最後のテーマになります。進むグローバル化に伴って、明大生に求めるものを教えてください。

大:早いうちにいろんなところに行って、いろんな生き方を見て、知って、自分の人生を自分で選択できるようにしておくこと、かな。私は、目の前に現れた選択を選び続けてここまでやってきたから、そこまで悩まなかった話はしたよね。だから、まず選ぶ力。そして、選んだらそれをやり抜く力。前の選択肢に戻れたかも、と悩む人もいるよね。でも、私は心配しすぎだと思うよ。自分に能力があれば大丈夫だから。

中:となると、自分に自信を持てるだけの能力をつけることも、必要になってきますね。

大:そういう意味でグローバル化はいいね。いろんな人が一緒にいる状態だから。真剣にやっている外国人と仲良くなると、いいプレッシャーになるのではないかな。同じ環境で、視点の違う人がいる環境。たくさんの価値観の中に自分を置くのは、日本人にとっては大切なことですね。海外に行くことだけではないが、若いうちならリスクをとって,足取りも軽く、たくさん挑戦できるからね。

中:周りの環境を参考に、また比較することで自分の選択ができるのは、素敵なことですね。

大:だから、留学を考えているが,少しおじけづいている人へのメッセージは、「あまりリスクを考えないで,行ける条件を準備できるななら思い切って留学にいきなさい。行ったら、余計なことは考えず、いまそこにある条件を最大限活用して自分の思うようにやりなさい」といったところですね。留学を目指す皆さん、頑張ってください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

みなさん、いかがでしたでしょうか。なぜ国際化が大切なのか、自分が一歩踏み出すために必要な力はなにか。先生の経験から、少しでもみなさんにとっての学びがあれば幸いです。

パワフルな人生を突っ走ってこられた大六野先生のお話でした。

次回は、外務省で勤務経験のある、あ先生のお話。お楽しみに!!


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